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安田成美明かした 夫・木梨憲武への感謝 支えてくれた言葉とは「横にいる憲武さんが…」 記者が感じた「目で追いかけたくなる」魅力は…

2025.06.30
安田成美明かした 夫・木梨憲武への感謝 支えてくれた言葉とは「横にいる憲武さんが…」 記者が感じた「目で追いかけたくなる」魅力は…

自分自身を「生真面目」と分析する安田成美さん(58)。27歳の時に結婚し、30年以上の時をともに生きてきた夫の木梨憲武さん(63)の人間性に救われているといいます。「天才!」と称える夫の〝良い加減〟が心を解してくれると言います。夫のひと言に救われた。言葉を大切にする安田さんが、支えになったという言葉についても明かしてくれました。

(撮影・会津 智海)

――取材の時もゆっくりと言葉を選んでお話しされていて、言葉をとても大切にしているんだなと感じます。

「私、結構真面目なんですよ。それで突き進んじゃって自爆するみたいなこともあるんですけど、横にいる憲武さんが『大体で良いんだよ』とか、『もう一旦止めて、寝ちゃおうか』とか、ガーッと行きそうになっていると、緩ませてくれる。そらし方が凄く上手なんですよね。計算ではなくて、もう持って生まれた生き方だから、私は『天才だよ』って呼んでいるんですけど。そういう言葉をいっぱい持っていてくれるので、本当に救われてるなと思います」

――良いさじ加減を持っている。大人の余裕を感じます。

「なんかこう緩やかにというと、私はいい加減に見えちゃうんですけど、それが本当にびっくりするぐらいこれで良いんだって。追い詰めないっていうか、頑張らないっていうか、それがコツだなって思います」

――昨年に続き、東京と京都で朗読劇「星の王子さま」を上演されます。公演に合わせてエッセイ本「星の王子さま 私をつくっている大切なものたち」(きずな出版)を上梓されました。

「昨年初めて山梨で『星の王子さま』の朗読会を行いました。その時に脚本も書いたんですけど、その中で印象的なフレーズと、私はこういう風に思ってるっていうことをまとめました。大慌てで書いたんですけど、中のイラストも私が描きました」

――話しかけられているような気さくな口調に、引き込まれました。エッセイを書こうと思われたきっかけは?

「エッセイの後書きに書いたんですけど、私が尊敬している(画家で作家の)はせくらみゆきさんが、『成美さんは、書く人よ』って何度も言ってくださるので、重い腰を上げたっていうのが本音です。おこがましいって感じていたんですよね。自分の思いを本にするって」

――「うん。そうだよね。分かる」と頷きながらサクサク進めたので意外です。

「日記を書いていたこともあるんです。でも書いて1週間くらいして読み返すと、『馬鹿だね』とか思って破って捨ててしまって、1回も取っておけたことがなくて。自分自身がどっちかっていうと自己否定型で、だから『書く』ということと、『書いたものを残す』ということは、結構勇気がいる作業でした。書いちゃ捨てて、書いて書き直してみたいなことを繰り返していたので…。だからエッセイでは、こんなことがあったと自分の思いだけで走らずに、『絶対ほかの人も似たような経験があるよね?』っていうところに持っていって書いたら、ちょっと書けたかなという感じです」

――破って捨ててしまうってすごいですね。

「読み返した時は、もう次に行っちゃってるもんだから、もう読んでられないって。だから残さずに、ちょっともういいよって思っちゃうんですよね。書いている時は良いんだけど、読み直すといつも恥ずかしくなって。『これ誰かに見られたら本当に恥ずかしいわ』と思って、捨てちゃうんです」

――エッセイには、背中をさすってくれるような温かい言葉が詰まっていますが、安田さん自身が励みになった言葉はありますか。

「はい。いつも若い時から仕事をしてる時に誰かの本当に小っちゃい一言が、踏み出すきっかけになったっていうことがたくさんありました。今回エッセイを書いてみようと思えたのも、はせくらさんの『成美ちゃんは書く人よ』っていう後押しがあったから。そういう出会いの繰り返しで、こんなに年取っちゃいました」

――エッセイの中で、安田さんが印象に残っている言葉を教えてください。

「これからの時代に合ってるなって思うフレーズを詰め込んでいるんですけど、『大切なものは、目に見えないっていう』言葉は、現代にも響く言葉だと思います。自分でもこの言葉は大切にしていて、数値化しやすい数字とかそういうことじゃなくて、どれだけ自分がそれを感じて、どう思うかっていう。あの目に見えないものを感じるとか、人のその呼吸を感じるのと、同じようにそれはとても大事にしています」

(撮影・会津 智海)

<編集後記>

インタビュー中、自分自身を「生真面目」と説明した安田成美さん。ピシッと真っ直ぐに伸びた背筋、膝の上で重ねた両手は指先まで美しくどこにも隙がない。自分の世界をしっかりと持っていることを強く感じさせた。SNSで発信している手作りの編み物などはプロ級の腕前。書道にも親しみ、こちらでも唯一無二の世界を展開している。女優として、常に〝何者かになる〟場に身を置いているが、自分自身を解放できる〝好き〟があると、安田さんのように軽やかさを失わず柔軟に生きることができるのかもしれないと思うことができた。   

こちらの質問を聞いて考える間は、テストで難しい問題を解く時のように、思考を巡らせているが、今の自分の心を表現できる言葉が見つかると、パッと顔が輝き、笑うとなくなってしまう目で思いを明かしてくれる。その姿は少女のようで、周囲の心を一瞬で解してしまう。自然に目で追いかけたくなってしまう、魅力にあふれていた。(西村 綾乃)

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