安田成美語った 「仕事を辞めて家で静かに…」と悩んだ日々もあった 一歩踏み出せた理由とは…「星の王子さま」朗読劇に込めた思い
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女優、歌手としても活動する安田成美さん(58)は昨秋、新しい試みとして朗読劇を始めました。「ライフワークにしたい!」と気力に満ちていますが、「仕事を辞めて、家で静かに暮らしていこう」と悩んでいた時期があったそう。沈んだ自分と丁寧に向き合い、浮上するきっかけとなったのは「好きなことに、感動する心」だったと教えてくれました。(西村 綾乃)
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――朗読劇「星の王子さま」(7月1、2日 自由学園明日館)に向けて執筆したエッセイ「星の王子さま 私をつくっている大切なものたち」(きずな出版)に、「仕事を辞めて、家で静かに暮らしていこうと思い始めていた」と明かされていましたね。
「そうですね。いろいろ重なったんですけど、年齢的なものは大きかったですね。体調がしんどいなっていうところから、やる気が起きないっていうか、それが1番大きかったです。あと、自分が作品に携わる時に、こういうセリフを自分はここで言いたくないよねとか思うようになって、そこに立っていることが苦痛になってしまって。そう思ったら『やりたいことしか、やりたくなくなってきたな』って思うようになって。それが重なって、もういいかなって。何でもやるのが女優ですからじゃあ、もう女優じゃなくなっちゃうのかなって考えました」
――自分自身を見つめ直す時間があったんですね。
「はい。『やりたいことしか、やりたくない』と考えた時に朗読劇がありました。今までの自分の仕事も生かされるし、作るっていうことが好きだから。『私が好きなものは?』と考えた時、幼少期から大切にしていたサンテグジュペリの名作『星の王子さま』と、大好きな阿部海太郎さんの音楽が浮かびました。海太郎さんの音楽があればできる!って、朗読劇の脚本も1から書いて作ってみようと思い立ちました」
――「星の王子さま」を読むのではなく、オリジナル作品を知っている方でも楽しめるような新しい物語構成になっているところに驚きました。
「子供と一緒に見てもいいんですけど、大人も楽しめるように、王子さまが星に残したバラへの愛を募らせていくというところに焦点を当てて書いていきました」
――朗読劇は昨年の秋に、山梨で初上演されました。
「会場がかつて修道院として修道士たちが祈りを捧げていた場所で、とても趣がありました。近くにママ友が住んでいて、開催が決まった後は宣伝のチラシを配るとか、ボランティアで手伝ってくれました。本番当日は、子供たちもママ友と一緒になって、チケットのもぎりや車の誘導を手伝ってくれて。今日は持ってきていないんですけど、ステージに置いたバラの小道具も、お花屋さんにバラを買いにいって自分で手作りしました。とても思い入れのある作品になりました」
――「ライフワークにしたい!」と今年は東京と京都での開催も決まりましたね。
「はい。お客さんの反応も良くて、私も大好きな作品になったから、これからずっとライフワークになるような作品にしていこうと思っています。東京では7月に、11月に京都でもやります。年に最低1、2回はやりたいなと思っています」
――「女優を辞めよう」と考えていた時期もありましたが、「好きなことを追求すること」が安田さんを再生させたのですね。
「そうですね。自分が好きだなぁって感動している本や音楽などをつなげていこう。それが劇になったらいいなと思って、そこだけを考えてやったんですけど。お客さんが、私の言葉で泣いてたりするのを見た時に、どういうことが起きてるのかなって驚いたんです。言葉にすると皆さんの中に、色んなイマジネーションがわくんだなっていうのを実感しました。だからやっぱり言葉にするって面白いなと思いました」
――安田さんが感動したことなど心の声を詰め込んだエッセイ本の中で、安田さんは3人お子様たちの子育ての中で「自分の好きなことを見つけて」と言い続けたと記されていました。「好き」という気持ちは、安田さんにとってどんなものですか。
「好きなものが見つかるだけでも高揚するじゃないですか、そのエネルギーは、生きる源ですし、行動を移すきっかけになって、人と出会えたりもする。好きなものとかの感動とかがなくなっちゃうと、寝るしかなくなっちゃいますよね。好きなものがあるっていうことは、それだけで原動力になると思います」
――ことしの朗読劇には、好きなことを追求しアーティストとして活躍されている次男で画家の木梨銀士さん(25)が、アートワークで参加されます。
「海太郎さんが次男の絵か何かを見ていたみたいで、『銀士くんに入ってもらいたい』と声を掛けていただきました。本人に聞いたら『出来るかな』って言いながらもちょっとやることになって。自分も自信がないのに、子どもも一緒にって責任感じちゃうんですけど、本人も大人ですから、私のせいじゃないと思いながら、彼の作品を自分も楽しもうと思っています」
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