岸井ゆきの 毎朝のコーヒーが1日のスイッチ 「1つ1つの積み重ねでこれからも素敵な作品と出会えたらうれしい」
2025.11.28
自然体な佇まいが魅力の女優の岸井ゆきのさん(33)。主演映画「佐藤さんと佐藤さん」が11月28日に公開されます。岸井さん演じる佐藤サチと宮沢氷魚さん演じる佐藤タモツが出会ってから別れるまでの15年間を描いた作品。岸井さんは1組の男女のリアルな日常を表現しています。そんな岸井さんはかなりの健康志向なんだとか。活躍を支える毎日のルーティンや今後の目標を聞きました。(望月 清香)

――今作で演じたサチに共感する部分はありましたか。
「どちらかというとタモツの気持ちの方が分かります。私はタモツタイプです。サチは自分の気持ちを言葉にできる。それは羨ましいと思います。ただ、タモツは寄り道をしないと言いたいことに辿り着けないんですよ。私もそのタイプ。気持ちをうまく言葉にできないんですよね。思ったことをスパっと伝えられなくて、余計なことを言っちゃう。誤解がないようにしたいと思って言葉をいっぱい使うんですけど、誤解がないように使った言葉たちが邪魔で、結局何が言いたいのか自分でも分からくなってしまうことがあります。だから、目的に対してまっすぐに発言できるサチが羨ましかったです」
――タモツタイプとのことですが、コーヒー好きという点ではサチとタモツの両方に共感したのではないでしょうか。
「コーヒー大好きですね。毎朝飲んでます。きょうも朝飲みました。コーヒーを飲んで自分の中のスイッチを入れています」
――バリスタを目指していたこともあったと伺いました。
「そうなんですよ。なってないですし、勉強もしてないですけど、凄く興味がありました。バリスタになろうと思っていた時にカメラマンの方にスカウトしていただきました。今はバリスタのバの字もないただのコーヒー好きです」
――夜寝る前のルーティンはありますか。
「ルームフレグランスをいくつか持っていて、寝る前にシュってやっています。いい香りでリラックスできます。あと肩の運動をしたり、熱すぎないお風呂に入ったり…。良い睡眠のためにいろいろなことを試しています。以前、阿部サダヲさんに“528ヘルツの周波数を聞くとよく眠れるよ”とオススメしてもらいました」
――食事で意識していることはありますか。
「好きなものばかりを食べていると栄養が偏るので、バランスの良い食事を心がけています」
――料理もするのですか。
「料理もたまにします。でもレシピを検索する時は必ず“簡単”って最初につけています。1人分だからあまり手のかかったことはしたくなくて。簡単にできるハンバーグとか煮物をよく作ります」
――今後どのように年齢を重ねていきたいですか。
「難しいな。未来のことを考えるのが苦手なんです。目の前のことを1つずつ一生懸命にやるタイプなので。ただ健やかでいたいですね。それから映画に関わっていたいです。1つ1つの積み重ねでこれからも素敵な作品と出会えたらうれしいです」

<取材後記>
実力派女優の素顔は等身大だった。一通りの質問を終え、お礼を言って取材を締めた直後、岸井さんは変わらぬトーンで「また取材してくださいね」と話しかけてくれた。オンとオフの境目を感じさせず、周りには常に明るい笑い声が響いた。そんな岸井さんが大切にしているというのが「普通」の感覚。どんなに売れっ子になっても10年前とあまり変わらない生活を送っているという。休日の過ごし方は親近感が湧くものばかりだった。芸能界は華やかな一方で浮き沈みの激しい世界。そんな中でも周りに流されることなく、自分のものさしで生きる姿が魅力的だ。どんな役柄を演じても、ずっと前からそのキャラクターとして生きてきたかのような空気をまとう岸井さん。生活に根差した視点があるからこそ、役の心の機微や言葉にならない感情をリアルに表現することができるのだろう。(望月 清香)
