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岸井ゆきの リアルな演技を支える「普通」の感覚「自分の生活は守りたい」 リフレッシュはめいっ子との時間

2025.11.26
岸井ゆきの リアルな演技を支える「普通」の感覚「自分の生活は守りたい」 リフレッシュはめいっ子との時間

目は雄弁に語る――。女優の岸井ゆきのさん(33)はそんな言葉を体現する表現力の持ち主。視線の動きや瞳の輝きだけで演じているキャラクターの感情を伝えます。映画「佐藤さんと佐藤さん」(11月28日公開)では、主人公・佐藤サチの喜びやいら立ち、戸惑いを瞳に映しています。そんな岸井さんが大切にしているのは「普通」の感覚。どんなに売れっ子になっても変わらない日常への素朴な眼差しが、リアルで繊細な演技につながっています。(望月 清香)

撮影:会津 智海

――映画「佐藤さんと佐藤さん」では岸井さん演じる佐藤サチと宮沢氷魚さん演じる佐藤タモツの15年間を描いています。日常のリアルな描写が印象的ですが、演じる上でどのようなことを意識しましたか。

「氷魚さんや監督とのコミュニケーションの中で培われた関係性を凝縮して表現できたらいいなと思いました。“こういうお芝居をしたい”というよりはその場の空気を大事にしていました」

――特に印象に残っているシーンはありますか。

「サチとタモツがケンカをするシーンです。何度かケンカのシーンがあり、ワークショップやリハーサルを入念にして組み立てていったんですけど、いざ現場に入ってからは現場の空気で演じました。試行錯誤をして組み立てたものを一度壊せたことが凄く面白かったです」

――岸井さんの過去のインタビューを拝見していると、第一線で活躍する一方で、「普通」の感覚を大切にしていると感じます。どのような思いから「普通」を大切にしているのですか。

「自分の普通の生活は10年前からあまり変わっていないし、変える必要もないと思っています。ずっと友人も変わらないし、映画を見ることも変わらず大好き。私の仕事は毎回新しい人と出会って、全く違う物語に飛び込んでいく変化がある仕事なので、自分の生活は守りたいなと思ってずっと変わらない生活をしています。ただの映画が好きな 1人の人間です」

――仕事とは別の自分の居場所を大切にされているのですね。

「そうですね。仕事とは別で自分の居場所があるから頑張れているのかなと思います。やっぱり家に帰ると落ち着く。普通の感覚を大事にしてるとも言えるし、変われないって感じもします。逆にどうしたら変われるのかが分からないです」

――「普通」の感覚が今作のお芝居にも生きているのではないでしょうか。

「そうだといいですね。私は市井の人々を演じることが多いです。生活を表現したいと思っているので、そこにつながっていたらうれしいです。火星で生きてる人の役をやったりする時は日常生活で役につながることは減ってしまいますけど。そういう時は映画を見て何回も宇宙の世界に行っといて良かったなと思います。だから、結局は変わらなくて良かったってことなんですかね」

――最近のリフレッシュ方法を教えてください。

「映画を見ることとめいっ子と遊ぶことです。めいっ子は5歳と1歳。生き物が大好きなので、一緒に三重にある鳥羽水族館にラッコを見に行きました」

――めいっ子さんと水族館、楽しそうですね。めいっ子さんと遊ぶ時間も「普通」の感覚を保つ時間になっているのでしょうね。

「そうですね。凄く楽しいです。めいっ子は動物博士なので何でも教えてくれます。もの凄く詳しいです。めちゃくちゃ頭がいいんだと思う。天才かもしれないと思っています」

撮影:会津 智海
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