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中条あやみ 明るい笑顔の秘密とは たどり着いた「自分の感情に向き合う方法」思考の断捨離、自分に負けたくない気持ちも…

2025.11.08
中条あやみ 明るい笑顔の秘密とは たどり着いた「自分の感情に向き合う方法」思考の断捨離、自分に負けたくない気持ちも…

圧倒的な美ぼうとスタイルに親しみやすさを併せ持つ女優の中条あやみさん(28)。第一線で活躍し続けるための原動力にはどんなことがなっているのでしょうか。大切している言葉、転機になった出来事などを聞いてみると、そこには、心が豊かになれる思考がありました。(西村 綾乃)

撮影:西尾大助

――SNSで「令和いち泣ける」と注目された芥川なお氏原作の純愛小説「ストロベリームーン 余命半年の恋」(監督酒井麻衣)が公開中です。中条さんは余命半年と宣告された主人公の少女(桜井萌)の親友・高遠麗の13年後を演じています。

「はい。作品の中で黒島結菜さんと共演しているのですが、結菜と初めて会ったのは、ちょうど萌と麗の年齢ぐらい。私が転校した先の高校の教室の中でした。それからずっと親しくしていて、お仕事でご一緒することもあって、刺激をもらっている存在。お互いに10年ほど年齢を重ねて、気付けば私たちも大人になりました。劇中の結菜を見た時、萌ちゃんも麗と同じように時間を過ごしてたらどんな大人になっていたのかなと想像して、ウルッときてしまいました」

――素敵なエピソードですね。TBSドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」では、女性社長・柏倉椿役を務めています。

「椿の考え方には共感できる所が多いです。せっかちなところや、『違う!』と思ったら、気持ちを切り替えるさっぱりしたところもそう。今作が2度目の共演の竹内涼真さんからは『ほぼ、中条あやみじゃん!』って突っ込まれることもあります。私自身も興味を持ったことに対しては、チャレンジするようにしています」

――今年は28歳の誕生日に初のフォトエッセイ「明日へのことば」を発売するなど、新しい挑戦がありました。「人ではなく自分に期待する」、「コンプレックスは、のちのち自分の個性になる」など背中を押してくれる言葉が詰まっています。

「ありがとうございます。私はもともと自分自身から何かを発信するタイプではなかったのですが、数年前にSNSを始めて、そこで発信した言葉を見て下さった編集者の方が『選ぶ言葉が好きです』と言ってくださり、一冊にまとめることができました」

――「明るく前向き!元気!」な印象を持っていたのですが、学生時代にシャイだったことなどを明かされていました。

「昔から友達が少なかったんです。学生時代は図書委員を務めていたので、一人で本を読んで過ごしていました。コロナ禍で自分と向き合う時間が増えたことで、これまで放っておいた自分の感情と向き合うことが必要だなと感じました」

――「自分の感情と向き合う」とは…。

「14歳でこの仕事を始めて、18歳から22、23歳頃までは、学生とモデルなどのお仕事で挑戦が続いて、忙しくて記憶がないんです。その頃から〝心が動いたこと〟について書き留めるようになったんです。最初は仕事の反省ばかり書いていましたが、記憶を言葉にすることで、感情をとどめておくことができるようになった。言葉と向き合うことは自分と向き合うこと。わいた感情を覚えておくことができるようになったことは芝居にも良い影響を与えてくれました」

――どのような影響でしたか。

「私ではない誰かを演じることが芝居ですが、私自身私がどういう人なのか分かっていなかった。自分を知らないと、人と自分の違いも分からない。誰かを知ったつもりでいたんだなと反省しました」

――色々な経験があったからこそ、物事をプラスにとらえていくという思考にたどり着いたんですね。自分で自分を肯定できる素敵な考え方だなと感じました。

「例えば雨の日って、憂鬱だなとかマイナスに思いがちだけど、いつもと違う景色が見られるという風に発想を変えれば楽しくなる。雨が上がってできた水たまりに映った街の景色のように、雨の日にしか目にすることができない景色もある。そう考えると、苦手と感じることにも前向きに取り組むことができるかなって」

――10代の時、今田耕司さんが口にした「10年やってみる」という言葉が、転機になったとそうですね。今年デビュー14年目を迎えますが、壁にぶつかったと感じた時期はありましたか。

「無人島に行きたいと思った時期がありました。『TOKYO MER』シリーズの撮影をしていた時期です」

――無人島ですか!?

「難しい役だったので、『やり切った!満足した!!燃え尽きた!!!』って燃え尽き症候群になりました」

――救命救急医として、命を救うためになりふり構わず奔走する姿に感動しました。

「本当に燃え尽きてしまって、でも燃え尽きたことで自分に何が必要なのかが見えてきました。思考の断捨離ができたんです」

――思考の断捨離をした今、自らの原動力になっているものはどのようなことですか。

「家族や周囲の応援ですね。高校生の時、オーディションを受ける時に着ていた制服を見ると当時のことを思い出します。自信がなくなった時に、引っ張り出して『この時の自分に恥ずかしくない?』と自問自答します。誰かにではなく、自分に負けたくないという気持ちが私を動かしています」

――デビューから14年、今年28歳を経て、周りの環境やご自身の思考はどのように変化しましたか。

「学生の時はみんなといることが楽しかったけれど、いまは自分のことをちゃんと大切にしてくれる人が周りにいるんだなって。そういう存在ができたという安心感があります。優しさや愛情をくれる人がいるから、私もそれを誰かにシェアすることができる。時間に余裕がない時でも、押して開いたドアを、後ろの人のために空けておくことができる。誰かのために自分が何かをすることができる状態でいたいなって思います。友達、家族、仕事もそうなのですが、愛を持って接してくれる人がいるということが、私を穏やかにしてくれていると思います」

撮影:西尾大助

◇中条 あやみ(なかじょう・あやみ)1997年(平9)2月4日生まれ、大阪府出身の28歳。14歳の時にモデルとして芸能界デビュー。2012年の連続ドラマ「黒の教師」で女優デビューした。ヒロインを務めた16年公開の映画「セトウツミ」で毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を受賞。初のフォトエッセイ「明日へのことば」(幻冬舎)を刊行。出演する映画「ストロベリームーン 余命半年の恋」が公開中。放送中のTBSドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(火曜後10・00)にも出演している。

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