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松下由樹明かした モヤモヤ「更年期みたいなもの」の乗り越え方 記者が感じた「カメレオン女優」の裏側とは…

2025.06.20
松下由樹明かした モヤモヤ「更年期みたいなもの」の乗り越え方 記者が感じた「カメレオン女優」の裏側とは…

「ナースのお仕事」シリーズの先輩ナース役などでお茶の間に親しまれている女優・松下由樹さん(56)。ドラマだけでなくバラエティーでもお茶目な姿を披露。晴れやかな笑顔が印象的ですが、どうしてもモヤモヤする時もあると打ち明けてくれました。自身が「更年期みたいなものでしょうか」と話す悩みについての乗り越え方を聞きました。(中村 綾佳)

撮影・尾崎 有希

――テレビ東京ドラマ「ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~」(金曜深夜0・12、6月20日最終回)では、「大奥」以来21年ぶりの単独主演となりました。松下さんはこれまでさまざまな性格の役を演じ分けてきましたが、日常生活で役に気持ちが引っ張られてしまう経験はありましたか?

「若い時はありましたが、今は役を引きずったり影響を受けたりということはありません。自分と役を切り離すことは意識して取り組んできました」

――自分を強く保つため、心を強く保つためのコツや習慣があれば教えてください。

「いろんな人物を演じる中で自分を保ち続けるためには、誰かと話すことが大事かなと思っています。コロナ禍で人と触れ合う機会が減った時は、人と話すことの大切さを身に染みて感じました。最近になってようやく今までの生活を取り戻すことができて、その大切さを改めて思っています」

――コロナ禍ではどのような気持ちになっていたのでしょうか。

「仕事中は検温ばかりで、プレッシャーを感じていました。体温が少しでも高いと“立ち入り禁止”と言われたので、神経質になりすぎてしまったりして。今ようやく通常モードに戻り、安心しています」

――あの頃は誰かと会うこともなかなかできない時期でした。不安な気持ちにはどのように向き合っていましたか。

「私は普段から『しんどいな、つらいな』と思ったり、モヤモヤする気持ちが生まれたりした時には、1人で抱えるのではなく誰かに打ち明けてストレスを解消していました。悩みに共感してくれる人との会話が支えになっていましたので、あの時はそれがなかなかできなかったのがつらかったです。今は通常の生活を取り戻したので、やっぱり会って話をすることは大事だなと思っています。年齢を重ねていくと、体のことや心のことを人に言うのはためらうこともあります。言いにくいこともありますし。でも、それを打ち明けることは大事だなと思うんです。話をすると、それだけで体が楽になる感覚がある。心配事は体の中にこもらせないということを意識しています」

――デビューから42年。ずっと第一線で活躍されていますが、年齢を重ねて体の不調などを感じることもありますか。

「若い時は分かりませんでしたが、50代はどうしても体がだるかったり、心がモヤモヤしたりするんです。いわゆる更年期みたいなものでしょうか。でも、人生の先輩方が更年期については『あまり不安がらなくていいよ』とおっしゃっておりましたので、そういうものだと思って過ごしています」

――今後はどのように年齢を重ねていきたいでしょうか。

「50代ですが、年齢に縛られずにまだまだいろんな役をやっていきたい!という“欲”があります。『もう年だから…』と自分で自分を縛りたくないと思っています。出演中のディアマイベイビーでも、共演の野村康太さんとは30歳以上の年齢差がありますが…自分ができる役の幅を、自分で狭めることのないように挑戦を続けていきたいです」

――これまでさまざまな役を演じてきましたが、これから挑戦してみたい役はどのようなものでしょうか。

「ディアマイベイビーが異常な愛という作品なので、次は純愛をやりたいです。監督ともそんな話をしています。今だからこそできる表現があると思うので、チャンスがあればやりたいですね」

撮影・尾崎 有希

〈編集後記〉

私にとって、松下由樹さんといえば「ナースのお仕事」。言わずと知れた大ヒットドラマで「あ~さ~く~ら~!」のセリフが印象的な、頼れる先輩というイメージでした。ですが、現在出演中の「ディアマイベイビー」で松下さんが演じているのは、ゆがんだ愛情を示す狂気をはらんだ女性。サッパリした性格の先輩ナースとは性格が180度異なる役どころです。

これまであらゆるジャンルのドラマに登場し、役によって全く違う表情を見せてきた松下さんは、まさに「カメレオン女優」。取材前から「実際の松下さんは一体どんな方なんだろう…」とずっとドキドキしていました。そんな不安も、最初のあいさつの段階で吹き飛ばされました。松下さんが部屋に入った瞬間、その場がパァッと明るく華やいだのです。そして優しい笑顔と丁寧な受け答え…。まさに、私が抱いていた「仕事がデキる頼れる先輩」の印象そのものでした。

取材の中は「ラーメンが…」「肩こりが…」と親しみやすい話題で盛り上がり、出身地である名古屋グルメの魅力を力説するなどお茶目な一面も。その場にいるだけで全体が明るくなるような、人を惹きつける魅力を感じました。

今後について聞いてみると「純愛ものがやりたい!」。これからも作品を通じて新たな松下さんに出会えるのが楽しみです。(中村 綾佳)

撮影・尾崎 有希
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