女性が働きやすい環境作りとは…知花くらら 先進企業に聞く 三菱UFJ信託銀行のDEI取り組み
2025.06.04
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三菱UFJ信託銀行 2023年度に女性の勤続年数が男性上回る
働く女性が増え、その働く環境を整えようとする企業が増えています。三菱UFJ信託銀行は、「ワークライフバランスの充実」から「女性社員のキャリア形成支援」に施策の軸足を変え、専任組織を2016年に発足。以降は、女性だけではなく、「多様な社員の働きがい向上」を目指し、「インクルージョン&ダイバーシティの推進」としてその範囲を拡大しました。2018年からは銀行、信託、MUMSSの3社が協働して、DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進と課題解決に取り組んでいます。
女性が働きやすい環境作りとはどのようなものなのでしょうか――。2023年度に初めて女性の勤続年数が、男性を上回った「三菱UFJ信託銀行」の人事部ダイバーシティ推進室で課長を務める氣賀澤安子さんと、元国連WFP(世界食糧計画)として、約15年間で20カ国以上を訪問し、その差を肌で知るモデルの知花くららさんに話を聞きました。
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ワークバランスを大切にする「両立支援」の試み きめ細やかな制度
――三菱UFJ信託銀行では、DEIの取り組みの一環として「ジェンダーギャップの解消」などに取り組まれています。中でも結婚や出産、育児、介護など変化するライフステージに合わせて「従業 員の仕事と家庭の調和(ワークライフバランス)」を大切にする「両立支援」の試みは、安心して働くことができる制度ですね。家族の通院や、子供の送り迎えなどが発生した時に対応できるよう、 基本的な制度として、「短時間勤務制度」「時差勤務制度」「在宅勤務制度」「育児費用補助」「介 護休暇」「介護休業」など、それぞれのライフステージの変化に沿ったサポートのほか、「配偶者海 外転勤等同行休職制度」や「不妊治療休暇」など時代の変化に合わせたきめ細やかな制度があり、現場から上がってくる声に積極的に耳を傾けている姿勢がうかがえました。充実した制度の背 景には、先輩達の苦労があったと思うのですが、お二人は仕事とプライベートをどのように両立してこられたのでしょうか。
知花「20代の時は、できる仕事はすべてやっていこうという姿勢で取り組んでいました。今は育児と両立できるように、スケジュール的にここまではできるけれど、これ以上は難しいですと言うことをマネージャーに伝えて、1つ1つのお仕事のスケジュールを相談しながら両立できるようにしています」
氣賀澤「振り返るとずっと必死だったなと思います。仕事、結婚、出産と、その都度必死でした ね。出産することで、何かを諦めなくてはいけないということは、考えていませんでした。20代ならではの万能感もありましたし、結婚をして出産をするまでは全力を仕事に傾けていました。 出産後は、優先順位をつけないと24時間もたないと思い、その時の状況に合わせて、どちらを選ぶのか考えました。育児が優先と思われる方もいるかもしれませんが、家族の協力を得ながら育児ではなく仕事を優先する時もありました。出産は私にとって、大きなターニングポイントになりました」
社内に相談窓口設置 復職後も研修を行うなどスムーズに現場へ戻れるように…
――結婚や育児、介護などについて、直面した時に初めて考えるという社員も少なくないと思うのですが、ライフステージの変化に合わせどのようにフォローしているのでしょうか。
氣賀澤「社内に相談窓口を設けています。どのような制度があるのかはもちろん、妊娠など具体 的な相談事があった時には、制度の使い方を紹介したり、働き方をアドバイスしたり、復職後も研修を行うなどスムーズに現場に戻ることができるようにしています。また育児との両立を支援するために、職場では休業前と復職前に面談を行い、どんなキャリアを築いていきたいのか、どんな働き方をしたいのかなど、個人の考えを聞いています。人事部では、それぞれのライフステージに合わせた支援を行うため日々対応しています」
――各制度に加えて、「家事代行サービス費用補助制度」などもあり、ちょっと手を借りたいけれど、頼める人がいない時など、とても良いなと感じました。
氣賀澤「安心して働き続けられるように、様々な施策を行ってきた結果、2023年度は男性よりも、女性の方が勤続年数が長くなるという逆転現象が初めて起こりました。このことからも、働きやすい環境が整って来ているのかなと感じています。2025年は主に『ジェンダーギャップの解消』、『更なる両立支援の拡充』に取り組んでいきたいと思っています。まずは、周りの意識改革から始めていきたいです」
――知花さんは、このような取り組みについて、どのように感じますか。
知花「うらやましいと思います。私の仕事は個人事業主のような部分もありますので、壁にぶつかることがあっても、職場に相談するということは考えにくいです。それが、職場に相談窓口があっ て、困った時に具体的な相談にのってもらうことができるなんて、素晴らしいことですよね」
――「働きやすさ」までを考えて、企業を選ぶことも重要だなと感じました。
氣賀澤「私が籍を置いている人事部の中には採用グループもあり、就職活動をしている学生に向 けて、両立支援など継続して働くことができる環境を整えていることを伝えています。学生もそう いう部分を見て、企業を選択するという判断をしているなと感じています」

知花くらら 建築デザイン学び直しで知った「取捨選択」の大切さ
――2025年の取り組みの一つとして「周りの意識改革」について話がありましたが、具体的にどのようなことが必要だと感じていますか。
氣賀澤「少しずつ変わってきていると感じていますが、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に ついては、継続的に取り組んでいく必要があると感じます」
――知花さんは、2007年から約15年間、国連の世界食糧計画(WFP)オフィシャルサポーター や日本親善大使として各国を訪問されました。その中で見えた女性の姿で印象的だったことをお話しいただけますか。
知花「色々な文化に接する中で、ジェンダーの捉え方の違いを感じました。特に印象に残っている のは、タンザニアのマサイ族のカルチャーです。一夫多妻制のマサイの文化の中で女性は、勉強 をしたいと思っていても、進学することが叶わない。マサイの文化が劣っているということではなく て、女性が生きていくための考え方の違いに驚き、このことは私自身のターニングポイントにもなりました。そういう女性達を知ることで、『選択をしたい』と望む女性、『学びたい』と自由を求める 女性を支援したいと思うようになりました。学べることはとても豊かなことだとも気づかされました」
――「学び」というと、知花さんは37歳だった2019年から「学び直し」として、京都芸術大学通信教育部建築デザインコースに進学されました。第1子を妊娠中の選択に驚きがありました。
知花「祖父から沖縄・慶留間諸島の生家を譲り受けたことがきっかけでした。学びたい欲が高まっていたこともあり、入学を決めました。自分で建築案を考えたいと思ったのは、『島の景色となる建 築物にしたい』という想いと、『島の景色の中に、何を残すことができるのか』という考えがあったからです。土地の歴史も学ばなくてはと、役所に電話をして古い文献を貸していただいたり、学校の図面を見せてもらったりもしました。その行程をまとめた再建プロジェクト案が、2年間の学びの集大成として提出した卒業制作になりました」
――21年に卒業され、翌年に二級建築士に合格するなど、夢に近づいています。
知花「ビッグピクチャーはできたので、これからは実現のために賛同してくれるチーム作りをする ことが必要です。地元に受け継がれた意匠を残すための職人、材料などそれぞれに筋を通していく。身についた知識を元に、これは残す。採用しないという取捨選択をすることができることも、学んで良かったと思う部分です」
――理想とするものを求め、取捨選択するということは仕事と育児、介護などを両立していくため にも大切なことと感じます。
氣賀澤「時間的な制約がある中で、別々のものを両立させるためには取捨選択することが必要で す。その時に『うまくやろう』ではなく『うまくできなくてもいい』と思える柔軟さを持つこと。自分がで きる範疇の中で、自分にとって最良のことを考えることが育児にも仕事にもいい影響を与えてくれると思います。『両立するのって大変だよね』で終わらせない。私自身、振り返ると両方中途半端 だった時もあったなという自覚もあります。そういう時期もあって良い。両方を全力でというのは、続けていくために大きなストレスになりますから」
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三菱UFJ信託銀行 男性社員の育休推進 女性側の「自分ばかり我慢」解消へ
――「家は女性が守るもの」という偏った価値観は、まだ社会の中に残っていますが、三菱UFJ信託銀行は、「性別に関係なく仕事と育児を両立できる職場」を目指しており、男性社員の育児休業取得を推進するなど環境作りにも努めています。パートナーの意識を変えるひと言をそれぞれお願いします。
知花「一緒に育児を楽しもう!です。『育児に参加する』『手伝う』じゃないんですよね。二人の子供 だから、一緒に!と言いたいです」
氣賀澤「そう。メインは女性で、男性は一部をサポートするという考え方が違うと感じます。でも多くの女性が育児の8割をこなしている現実があります。とっても偏っていますよね。『共育て』という意識を持ってほしい。どちらかに負担がかかるのは、フェアではない。家庭の中でできることは、それぞれが率先して役割分担をして自分らしくいられる生活を守っていきたいですね」
知花「そうしないと、不平不満が溜まって・・・」
氣賀澤「自分ばっかり、我慢してる!!!と爆発してしまうかも・・・」
知花「そうですね。厳しいひと言をぶつけてしまうこともある・・・、かもしれないので、そうならないように、気をつけていかないとですね(笑)」
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◇知花 くらら(ちばな・くらら)
1982年、沖縄県那覇市出身。多数の女性ファッション誌でモデルを務めたほか、コメンテーター・ 俳優・歌人として幅広く活躍し、数多くのTV・ラジオ・CMなどへ出演。上智大学を卒業した2006年 にはミス・ユニバース世界大会で準グランプリに輝く。2007年から約15年間、国連世界食糧計画 (WFP)で活動し、オフィシャルサポーターや日本親善大使として世界各地を訪問。プライベートでは、第1子妊娠中の2019年に京都芸術大学通信教育部建築デザインコース入学。2022年2級建築士試験に合格。2児の母。
◇氣賀澤 安子(けがさわ・やすこ)
2000年三菱UFJ信託銀行入社。現在は、人事部ダイバーシティ推進室の課長としてDEI推進を担当している。1児の母。