大竹しのぶ「ピアフ」上演15周年公演 走り続ける原動力は…
2026.01.09
2025年は舞台「リア王」で初めて成人男性を演じるなど、常に挑戦をし続けている大竹しのぶさん(68)。今年はフランスのシャンソン歌手、エディット・ピアフの激動の人生を描く主演舞台「ピアフ」でその活動をスタートします。26年1月に通算200回を超える上演15周年公演。走り続けるその原動力について聞いてみました。(西村 綾乃)

――昨年、東京・新宿で上演された「リア王」では25分間降り続ける雨の中での演技に圧倒されました。
「もともとシェイクスピアが好きで、中学2年生の文化祭で『リア王』をやったことがあったんです。当時は自分で脚色をして楽しかった思い出があったので、舞台でリアをやると聞いた時はうれしかったですね。でもまさか自分がリアを演じるとは思っていませんでした。でも(イギリス人の演出家)フィリップ(・ブリーン)の細かい演出を受けてみて、リアがなぜ狂っていくのかなど分かったことも多くありました。とっても楽しい舞台でした」
――昨年は8月に「華岡青洲の妻」、10月頭から「リア王」と続きました。そして26年が始まってすぐに「ピアフ」。大作の舞台に続けて出演していることにも驚きがあります。
「お芝居をしていれば元気でいられるんです。リアのお稽古が始まったのは、『華岡青洲の妻』が終わって1週間後。でも最後の日の幕が下りるまで、青洲の妻・加恵として、世界にどっぷりと浸かっていました。『ピアフ』を演じるのは6度目になりますし、1カ月集中して準備をすることができました。熱い稽古でした」
――2011年の初演から、6度目の「ピアフ」です。「ピアフ」になるための儀式のようなものはありますか?
「ピアフになるスイッチのようなものはなくて、もう体になじんでいる感じです。幕が開いたら、2月いっぱいまでピアフとして生きるので、いつもどこかに必ずピアフがいる時間になると思います」
――東京で1月10日に始まり、11日の昼公演で通算上演回数が200回になる見込みです。
「あぁ、もうそんなに経ってしまったのかという思いですね。ピアフに会えたことは女優として大きなことでした。ピアフはたくさんのことを教えてくれました。『愛の讃歌』など劇中でたくさんの曲を歌うのですが、終演後、劇場を出るお客様が『水に流して』を口ずさみながら帰って行くとスタッフの方に聞いて、ピアフの歌には本当に凄い力があるんだなと実感しています」
――大竹さんご自身はどのようなことをピアフに教わったのでしょうか。
「必死に生きて、必死に愛することです。『あたしが歌うときは、あたしを出すんだ。全部まるごと』というセリフが大好き。彼女の歌からは祈りのようなものを感じるので、天と地をつなぐように歌いたいです」
――走り続ける原動力はどこにありますか。
「舞台に立ち続けることですね。前の舞台を終えて疲れているはずなんだけど、新作の稽古に入ると、なんか元気になっているんですよ。本番になったらもっと元気になるから、みんなに『化け物だ!』とか『妖怪!!』とか言われています」
――稽古場や劇場にエネルギーがあるのでしょうか。
「そうですね。後はその戯曲が持ってるエネルギーもあります。シェイクスピアは特にそうです。その中に入っていけば自然にエネルギーをもらえる。大きな声を出して起こって、悲しで憎んで、絶望もして…。感情の旅をしていると、血液が活性化されるような感じがします」
――最後に舞台を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。
「心臓をえぐり取られるような衝撃的な作品です。強いエネルギーと愛を渡すことができる作品だと思っているので、それを実現できるようにしたいです。客席に座って私たちのエネルギーを受け取ってください!」
舞台は1月10~31日が、東京・日比谷シアタークリエ。2月6~8日が愛知・御園座。同月21~23日が大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。

